地域別事例紹介

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子供と一緒に食育

漁村風景▼浜に住んでいながら魚が嫌いな子どもたち
福井県は日本海沿岸のほぼ中央に位置し、県下の海岸線延長距離は410kmに達しており、漁業が盛んな場所です。
福井県は県全体で「魚をさばける福井人育成講座」を立ち上げ、食育と地産地消に力を入れています。その中で話題を呼んでいるのが、福井県JF越前町女性部連絡協議会・小林吉美さんのグループが行っているプログラムです。

小林さんが所属する女性部は、100名ほどのメンバーが在籍していますが、その内の10名ほどの部員が中心となって、地元の各幼稚園や小学校、高等学校を回り魚のさばき方や干物作りを実践しています。
この取り組みが始まったのは、今から10年ほど前のこと。まだ「食育」という言葉が定着していなかった時代でした。きっかけは、町内の子どもたちの食生活の現状を知った事から。浜辺に住んでいながら魚は嫌いで肉が好き、魚が怖くて触れない、魚の名前をほとんど知らない子どもが多数いました。

▼地元の特産品を使って干しがれい作り
そこで最初は小学校を回り、子どもたちが魚に親しみを持つ体験学習として、越前町で一番水揚げが多い「干しがれい作り」がはじめられました。
最初こそ見慣れない魚を目の前にして「わー!臭い」「気持ち悪い!」と声を上げる子どもたちでしたが、授業が終わる頃には、すっかり魚が好きになっているとか。
徐々に小林さんたちのグループの活動は認められ、その結果、小学校5~6年生を対象に授業のカリキュラムに取り入れてもらうことになりました。
他にも教育委員会と連携して月に1回、子どもたちの学校給食で地元の魚を使ったオリジナルメニューを提供。食育の授業を受けた子どもたちは、食べ残しが減るなどの顕著な変化が見られるようになりました。
今ではその輪が広がり小学校だけではなく、幼稚園でも魚のおろしかた教室を実施。
幼稚園では、ケガをしないようにスプーンで魚をさばく等、子どもたちに危険がないように配慮もしています。
さらに女性部では、魚をおろすだけではなく部員手作りの着ぐるみやぬいぐるみを使った寸劇や勉強会などを展開。活動は町内の各保育園や小学校の先生方、保護者、地域の人達から高い評価を受け、すでに次年度の申し入れもあります。「教員にも教えて下さい」との申し出があり、大人のための教室も定期的に実施しています。

▼地元の魚が食べられる食堂をオープン(予定)
自分達の船で獲れた魚を持ち寄り、経費をかけずに甘エビ、ガサエビ、赤イカ、タコ、バイ貝、カレイなど、地元の魚を使った食育活動。10年かけてようやく定着してきたこの取り組みですが、小林さんのグループでは次なる目標があります!
それは浜であがった魚を地元だけではなく、観光でやってきたお客さんに食べてもらうこと!この2009年4月から地元の既存の施設を利用して、食堂をオープンさせる予定。10年かけて福井県人の魚に対する意識を変えてきた女性部のみなさん。これからの10年にも注目です。