地域別事例紹介

関 東               


▼アワビの養殖は、ゼロからのスタート!7年に渡って孤独な作業
 岩井漁業協同組合がある千葉県南房総市は、房総半島の南に位置し、温暖な気候を生かし、漁業のほかにビワやミカンなどの栽培も行われています。
 元々岩井地区は、刺網の盛んな地域でしたが年々漁獲量が減少し、また漁師も高年齢化し、漁師の人数も減っています。
 このままでは、岩井全体の漁業が衰退してしまう、年を取っても漁業関係の仕事ができないかと、現在の組合長である廣田さんが平成10年にアワビの養殖に目を付け、千葉県館山水産事務所改良普及課と協力し、養殖を開始しました。
 元々廣田さんは学校を卒業した後、一旦就職し、30代になってお父さんの跡を継ぎ漁師になり、刺網、小型定置網などをやったことはありましたが、それまでアワビを育てた事はありませんでした。
 そこで最初に廣田さんは、他県を視察し、アワビ養殖の基礎を学びました。しかし学んだ養殖法がそのまま岩井の海に合うわけではなく、養殖アワビを入れておくコンテナのアワビの最適な数はどうなのか、コンテナの周囲を囲うプラスチックを網に変えてみたらどうなのか、また、数種類のアワビを育てたりなど、毎年試行錯誤しながら現在のクロアワビの養殖に辿り着くまで7年かかりました。

▼これまでの自分の技術を応用し、養殖法を確立
 現在は、港から100mほど離れた防波堤の裏側にプラスチックコンテナを設置し、1つのコンテナに100個程度のアワビを入れ、2年半に渡り養殖。
 岩井の海に合った養殖法を確立し、作業を行う漁師も3人に増え、年間6,000個のアワビを出荷しています。
 岩井のアワビが人気なのは、理由があります。
 通常、養殖のアワビは、天然の餌ではなく飼料を使う事が多いため、肝部分が独特な臭いがする場合があります。しかし廣田さんが与えている餌は、天然の海藻で、他に比べコリコリした食感があり、肝の部分も臭いもありません。
 このような廣田さんの養殖方法を聞いて、食べてみた他の養殖業者からは、「岩井のアワビを、もっと自信を持って売って、広めていったらどうか」といわれ、誰からも評価が高いアワビとして今、知られています。

▼アワビを通じて、地元を活性化!
 廣田さんらが育てたクロアワビは、市場に出されることなく、漁協を通じて地元の民宿と「道の駅富楽里」にある漁協直営のレストラン「とみやま」でしか食べることができません。廣田さん曰く「このアワビは、大量生産はしません。そして、海の環境にもやさしいのです。アワビが地元の名物になり、民宿にお客さんが沢山泊まってほしい。色々と苦労はあるが、このアワビを通じて、何か地域の活性化に役立てたい。漁協としても頑張りたい。」とのことでした。
 廣田さんが育てたアワビが食べられる旅館は、地元の観光協会等にお問い合わせを。