地域別事例紹介

関 東               

 

 

●浜を元気にする人   

 鴨川市漁業協同組合   定置部 漁撈長 坂本年壱さん


鴨川市漁業協同組合が元気な理由
1 ・20代の頃から、漁撈長を任された坂本年壱さん それを受け入れた先輩漁師
2 ・網会社での研修を生かし、漁船を改良し 定置網の効率化を図る
3 ・漁を通じて、鴨川全体の活性化を狙う!

▼27歳で漁撈長に就任 がむしゃらに働いた20~30代
 東京から車で1時間半ほどの距離にある鴨川市。東側は、観光地である水族館の鴨川シーワールドや市街地があり観光客で賑わっています。西側は長狭平野が広がり、自然豊かな土地で、農業が盛んに行われています。
鴨川で最近話題を呼んでいるのが、定置網の船上で行われる「沖〆(血抜き)の魚」です。この魚を出荷しているのは、鴨川市漁業協同組合定置部。漁撈長を務めるのは坂本年壱さん44歳。坂本さんの漁船「鰤丸」では、定置網で揚がった魚をすぐにその場で締めて出荷しています。
坂本さんは高校卒業後、定置部に就職。その後4年近く金沢で研修を積み、鴨川に戻ってきて、若干27歳で漁撈長に就任しました。20代で漁撈長を務める事は異例のこと。「最初は先輩に認められるので精一杯だった」と、語ります。最初こそ、ただの若造が・・・という目で見ていた先輩たちも、坂本さんのやる気を買い、徐々に慕い様々なアドバイスをくれるようになりました。
今では鰤丸30名(20~60代)の漁師を引き連れ、毎日定置網の漁に出ています。



▼漁具会社と話し合い、漁の効率化を図る
 坂本さんが、漁撈長に就任してから取り組んだ事は、定置網の効率化を図る事。
それまで定置網の漁は、40人一組で行われていました。安定した収入が得られる定置網とはいっても、人件費を削ればその分、浮いたお金で設備投資したり、漁師一人一人の収入アップに繋がります。そこで、坂本さんは独自に、自動選別機、ベルトコンベア、重量計付きフォークリフトを購入。
これらの機器によって、水揚げされた物は選別機でサイズ別に分けられ、ベルトコンベアで船の水槽まで運べるようになりました。この機械を購入するまでは、数十トンの水揚げがあっても、未選別魚種が多数あり、水揚げされたものを数十kgごとに台ばかりで計量していたため、効率が悪く、重労働でかなりの負担がありました。
ベルトコンベア上では、魚種別重量別に人力で選別し、サバに関しては6~7種類の銘柄に分け、少ない人数で漁をする事にも成功しました。

▼魚が旨い=鴨川 魚を通して地元を活性化!
 平成15年からは、船の上で「沖〆」をはじめ、よりおいしい魚を料理屋さんや食卓に届けられるように取り組んでいます。「沖〆」の美味しさを知ってもらおうと、漁協では仲買人や料理人を地元に招いて試食会を実施。
現在では締めた魚の方が、2~3日間鮮度が持続し、血なまぐささが少ない!と、高評価を受けています。沖〆した魚にはオリジナルのタグを取り付け、一目で鴨川産の魚だとわかるように一工夫。季節に応じて、サバ、アジ、ワラサ、カワハギなど約20種類の魚を出荷しています。
鴨川の海と向き合って25年。坂本さんは、「自分たちが獲ってきたものを使って料理屋さんが美味しい料理を提供すれば、地元の活性化にも繋がる」と、語ります。「まだまだやらなければいけない事はたくさんある。何よりもオレの事を追い抜くような、若い者も出てきてもらわなければ・・・」と、後継者の育成にも力を入れています。


 

 

参考資料

コツコツ積み上げた定置網漁業の技術 (第15回全国青年・女性漁業者交流大会資料より)