地域別事例紹介

沖 縄               

  


    ●浜を元気にする人

     恩納村おんなそん漁業協同組合海ブドウ生産部会 元生産部会長 銘苅 宗和ぬかる むねかずさん
     恩納村漁業協同組合                      比嘉 義視さん


恩納村漁業協同組合が元気な理由
1 ・高齢化を見据えた新しい形の養殖
2 ・若者中心の漁協が販売にも力
3 ・波及効果で女性たちにも働く場を提供

▼長時間潜水して収穫するモズクの養殖は高齢者にはきつい!ならばどうする!
 沖縄県恩納村は、沖縄本島西海岸のほぼ中央に位置し、古くは一本釣りや採貝や追い込み漁などが盛んでした。昭和47年の祖国復帰後、いち早くモズクやヒトエグサ養殖に取り組み、漁船漁業から作り育てる漁業へ転換しました。
 モズクの養殖は潮通しのよいサンゴ礁に広大な面積の養殖網を設置し、強い潮流を受けながら長時間潜水して収穫するため、相当の体力が要求されます。そこで高齢者でも栽培でき、夏場の台風シーズンにも影響されずに収穫できるものとして、海ブドウ養殖の研究グループが平成元年に7人のメンバーで活動を開始しました。
 メンバーの一人、功労者という肩書を持つ銘苅宗和さんは5年間水産試験場へ通って勉強し、自宅でも試験を続けた結果、平成6年までに現在の養殖法を完成させました。その養殖法には数々のアイデアが結集しています。成長速度を平均化するために養殖水槽の中に棚を作り、網を張って、海ブドウを挟んで養殖する方法。肥料に真鯛用配合飼料を用いることで海ブドウの粒の大きさや成長に顕著な効果がある施肥法。摘み取った海ブドウを養生するための水上自転車のタイヤを改良した流水水槽。こうしてコストをかけずに高品質な海ブドウを生産する養殖技術が確立されました。
 銘苅さんと漁協の比嘉さんたちはこうしたノウハウを希望する漁業者たちに提供し、平成6年に海ブドウ生産部会を設立しました。参加した生産者は15名でした。現在では80名の生産者が参加しています。


▼認められるまで売り歩く
 生産部会は地元のスーパーで店頭販売を試みましたが結果は散々。そこで漁協と一体となった組織的な営業展開に踏み切ります。
漁協の女性職員や関係者の協力を得て新しいデザインのパック容器や海ブドウ用のドレッシングを開発、地元のリゾートホテルから需要の聞き取りを行い、ホテルの朝市に出品させてもらうなどの地道な販売促進活動を繰り返した結果、海ブドウの知名度が上がり、計画を上回る販売実績を達成できました。
漁協の幹部は20代から30代と若返りが図られていたため、若い力が粘り強い販売促進活動を支えました。その後も生産と販売の両輪がうまくかみ合い、平成16年度には過去最高の67トンを生産しています。平成18年、恩納村の海ブドウは、沖縄県の水産部門では初めての拠点生産地認定を受けています。


▼波及効果
 恩納村では、女性の働く職場はリゾートホテルかゴルフ場などしかありませんでしたが、海ブドウの生産が軌道に乗ったおかげで女性が働く場が増えました。現在老若男女合わせて240名が働いています。
 平成17年ごろから沖縄県下一円で海ブドウの養殖が盛んになり、生産量が拡大して平成21年度には沖縄県養殖第3位の特産品に成長しました。平成22年位は約280トンを生産しています。
 しかし恩納村では、生産したものを大量に市場に出すのではなく、生産者が自主的に生産調整、販売調整を行って、良い品質の海ブドウを持続的に提供するための努力を続けています。




 

参考資料

沖縄海ぶどう 陸上養殖の歩み

 (第16回全国青年・女性漁業者交流大会資料より)