地域別事例紹介

中 部               

  


    ●浜を元気にする人

     石川県漁業協同組合すず支所総括参事        前野美弥次さん
     石川県漁業協同組合すず支所すずし底曳網船団   白田満広さん
     石川県漁協すず支所すずし底曳網船団    歴代の船団長と船団のみなさん


すずし底曳網船団が元気な理由
1 ・後継者のために意識改革
2 ・資源管理が育んだ助け合いの心
3 ・3日操業がもたらす効果

▼すずし底曳網船団はすず支所の大きな柱
 「能登の里山里海」としてFAOの「世界農業遺産」に認定された美しい海で、石川県漁業協同組合すず支所に所属する1346人の組合員が漁業を営んでいます。平成23年度の漁獲量は約4500トン、水揚げ金額は16億3900万円です。すずし底曳網漁船団は漁獲量の21%、水揚げ金額の32%を占めています。船団には4.9~9.7トンの小型底曳網漁船18隻が所属し、約50人が従事しています。

▼大漁貧乏と後継者のために資源管理をスタート
 すずし底曳船団がすず支所の柱となったきっかけは大漁貧乏です。すず支所の前身である蛸島漁協ではそれまでハタハタはあまり獲れていませんでしたが、平成16年には漁獲量が日本一になりました。しかし、ハタハタの急増と共に魚価が大幅に低下してしまいます。船団の皆は考えました。「このままでいいのだろうか…」「値段は安いし。労働力は余計にかかるし…」そこで、浜に帰ってきてくれた若者たちのためにもと意識改革を行い、平成17年から価格の安定と資源保護を目的に1日の漁獲量を制限することにしたのです。
すずし
 最初は2人乗りの船は1日150箱まで、3人乗りの船は180箱までとしてスタートしました。取組み直後は1~2回の曳網で制限箱数に達する船がある一方で、1日操業しても制限箱数に達しない船も出てきました。そこで、洋上で余分に漁獲した船は足りなかった船にハタハタを分け、僚船同士が助け合いながら全体で漁獲量を守るようにしました。こうして皆で助け合って漁獲量を守る機運が育まれていきました。やがて2人乗りの船は箱数に達した時点で帰港し、3人乗りの船は箱数に達した後は他の魚の漁獲に向かうなど効率的な操業が出来るようにもなりました。また、小型魚の保護を図る目的で漁網の魚取部の網の目合を10節から7節に拡大しました。
こうした取り組みを始めた結果、平成17年以降のハタハタの平均単価は、石川県の平均単価を上回るようになり、魚価を維持できるようになりました。


▼3日連続操業自粛でみんなが笑顔
 すずし底曳網船団では、平成21年からはすべての操業において3日連続の操業を自粛しています。その結果、平均出漁回数は104回/年まで減少しました。
 しかし、資源管理の影響もあって1回当たりの水揚げ金額は増加しています。また出漁回数が減った結果、ロープや網などが長持ちするようになり、経費が削減されました。 さらに、土曜日と水曜日を定休日とすることで休養がしっかりとれるようになり、家族サービスも十分行えるようになりました。青年部の白田さんは金沢市の建築会社勤務から浜に帰ってきた人の一人です。「勤務していた頃は残業で帰宅が深夜になることも多く幼い子供と遊ぶことも出来なかったが、浜に帰ってきて、休日も多く、ゆとりも出来たので子供とのコミュニケーションも良くできるのが良いですね。」と白田さんは語っています。休みを定期的にとるようになったことは若い人が就業することにもつながっています。おじいちゃんから幼子まで浜のみんなの笑顔が増しています。



 

参考資料

底曳網漁業での自主的な資源管理について

 (第17回全国青年・女性漁業者交流大会資料より)