地域別事例紹介

九 州               

  


    ●浜を元気にする人

     対馬真珠養殖漁業協同組合青年部長    日高政明さん
     対馬真珠養殖漁業協同組合書記      小島拓郎さん
     対馬真珠養殖漁業協同組合青年部     小田康人さん
     対馬水産業普及指導センター所長      高見生雄さん
     対馬真珠養殖漁業協同組合青年部の皆さん

対馬真珠養殖漁業協同組合青年部元気な理由
1. 探究心と向上心を支える情報交換
2. 赤変病に負けない努力の裏に情報収集あり
3. 品質向上の裏にも情報交換あり

▼探究心と向上心を支える情報交換
 九州と朝鮮半島の中間に位置する対馬では、島の中央部、浅茅(あそう)湾を利用して真珠養殖が盛んに行われています。後継者が一人前になるためには自分で良い真珠を作らねばなりません。そのため、浅茅湾を挟んだ豊玉町と美津島町の2つの地区の後継者たちはそれぞれ個人的に交流を持ち、情報交換をしていました。平成5年の冷夏では玉が巻かず、平成6年の高水温では貝が死に、続いて赤変病が流行り始めたため「真珠養殖業を守るために皆でなんとかしないと」という思いと、「自分たちの研究の場が欲しい」という思いを持つ後継者たちが集まって平成10年に青年部が結成されました。 青年部誕生により地区の壁が取り除かれた結果、幅広い情報交換が可能になりました。 現在、部員は15名。平均年齢は約35歳。45歳で青年部は卒業です。青年部員それぞれが自分の技術をオープンに提供し、また他人の良い技術を取り入れることによって対馬真珠養殖全体の技術向上が成し遂げられています。

▼赤変病に負けない努力の裏に情報収集あり
 赤変病は今でも原因不明ですが、青年部は関係機関と連携して疫学調査と感染実験を行い赤変病が伝染性疾病である可能性を突き止めました。また、組合員から寄せられる情報で、四国から秋に仕入れた稚貝はあまり死なないのに、春に仕入れた稚貝の多くが赤変病で死んでいることから、水温が低い方が発症を遅らせることが出来ることを発見、春の仕入れを対馬真珠養殖漁業協同組合全体で止めることにしたため、赤変病の拡大を食い止めることが出来ました。また、通常より1年早く挿核することで赤変病のリスクを減少させる技術も開発しました。


▼品質向上の裏にも情報交換あり

 青年部員15名は月1回普及センターに集まって各自の技術をデータ化して年間グラフを作成しています。良い成績の部員の技術は皆で共用するのです。このように良い技術 を率先して取り入れる積極的な気風が青年部の特徴ですが、先進的な他県の技術はそのまま取り入れることはしません。青年部が水産試験場と共同して試験的に実施し対馬に合う技術かどうかを判断してから、各部員が自分の漁場に合った方法に修正して取り入れます。それら情報が持ち寄られ、対馬にふさわしい技術が磨かれていくのです。

雇用の創出

 青年部員が養殖している貝の生残率や真珠の品質が年々高まっているため、青年部が開発した技術や生産方法は県内外で普及しています。また、生産性が向上したため、対馬真珠養殖漁業協同組合全体で潜在的な需要労働人数は300人と言われています。これからは行政の支援を受けて雇用を創出することも期待されています。



 

参考資料

対馬の真珠養殖を支える若い力

 (第17回全国青年・女性漁業者交流大会資料より)