地域別事例紹介

近 畿               

 

   

●浜を元気にする人

鳥羽磯部漁業協同組合浦村支所 浦村アサリ研究会代表 浅尾 大輔さん
  浦村アサリ研究会 中村 和馬さん
  浦村アサリ研究会 山本 善幸さん
鳥羽磯部漁業協同組合  総務指導課 宮本 淳志さん
三重県伊勢農林水産事務所 水産業普及指導員 主査 森田 和秀さん

浦村アサリ研究会が元気な理由
1 .一石四鳥のアサリ養殖法
2 .若者が地元で働ける元気な浜作りへの貢献

▼全国のアサリ養殖業者も興味津々
  伊勢湾と太平洋が接する三重県鳥羽市は海の幸に恵まれた漁業と観光の町。浦村地区は特にカキ養殖が盛んな地域です。アサリ研究会のメンバーは30代から40代の元気な11名。皆カキ養殖に携わっています。彼らが行っている新しいアサリ養殖法が浦村の浜に、そして全国のあさり養殖業者に元気を与えています。何しろその養殖法は一石四鳥の可能性を持っているからです。①副業としても本業としても行える。②経費がかからない。③環境浄化。④短期間で大きく育ち実入りも良い。初めての水揚げは平成24年の9月でした。地元の朝市で500g入りの袋はすぐに完売。地元の旅館やレストランからの注文も相次いでいます。この新しい養殖法は代表の浅尾さんの「どうして?」から始まりました。

 

 

▼東日本大震災の津波が研究に拍車
  カキ養殖は冬が出荷の最盛期。出荷が終わると仕事や収入がなくなってしまうため、夏期の収入源確保が経営上の課題となっていました。近年は度重なる台風や津波の被害 で稚貝が高騰しカキ養殖の経営が難しくなっています。次の世代が地元に残ってもらうためには、カキ以外でも収入が得られる多角的な魅力ある養殖業にする必要があります。 また、カキ養殖で出る大量のカキ殻の処理という問題もあります。そんな折に、浅尾さんは水産総合研究センターが行っていたカキ殻を使ったアサリの天然採苗試験を見学して好奇心をかきたてました。「どうしてアサリがいなくなった浜なのに、設置した袋の中にアサリがいっぱい入っているんだ?」。秘密は袋に入れたカキ殻の粉末を固形化したケアシエル。そこに海を漂って来るアサリの幼生が付着し育っていたのです。「もっと知りたい!」「これを産業にしたい!」。浅尾さんは消防団でカキ養殖を行っている仲間を誘って平成22年にアサリ研究会を立ち上げました。そして常識外れの方法で養殖を始めました。カキ養殖の資材を流用して、天然採苗した稚貝を垂下式養殖で育てる方法です。稚貝、カキ殻粉末の栄養剤、砂利を入れたコンテナを筏から海中に吊り下げたのです。こうすれば稚貝は24時間栄養豊かな海水に浸かっていますし、魚や蛸に食われる心配もありません。平成23年、東日本大震災の津波の影響でカキ養殖の筏は大被害を受けました。東南海地震という爆弾を抱えた三重県では「カキ養殖だけに頼るのは危険だ」アサリ研究会のメンバーは新しい養殖法を完成させる必要性を実感しました。津波が押し寄せたあとの浜にはアサリ採苗袋がそのまま残っていたのです。研究会のメンバーが採苗袋を置く適所と垂下式養殖の適地を研究した結果、採苗袋には1袋当たり 多いもので1000個体以上の稚貝を年2回取り上げることができました。垂下式養殖では伊勢湾の天然アサリの半分の期間で出荷サイズに成長し、実入りもとても良いことが判明しました。




▼若者が暮らせる浜へ、そして日本の浜を元気に
 アサリ研究会のメンバーはカキ養殖のプロだけでなく、アサリ養殖のプロになりたいと思っています。そのために自分たちの研究成果を二枚貝養殖漁業者に紹介し交流して情報を得ています。平成26年2月現在23道県の漁業者と交流しました。日本各地で 一石四鳥の“育む漁業”が盛んになり若者たちが暮らせる浜に戻したい!アサリ研究会の思いが浜を元気にしています。






 

 

参考資料

カキ殻を有効活用した新しいアサリ養殖

 (第18回全国青年・女性漁業者交流大会資料より)